メダカが冬に死ぬ原因と対策|寒さより怖い「寒暖差」を専門店が解説
「秋までは元気だったのに、冬の間に数が減っていた」
「春になって見たら、痩せて弱っている子がいる」
「寒さで死んでしまったのか、自分のやり方が悪かったのか分からない」
冬を越せずにメダカを失う。この相談は、毎年2月から3月にかけて増えます。
そして多くの場合、原因は「寒さそのもの」ではありません。メダカは氷が張る水の中でも冬を越せる魚です。それでも減ってしまうのには、別の理由があります。
この記事では、横浜で屋外越冬を続けているメダカ専門店が、冬にメダカが死ぬ本当の原因と、今からできる対策をお伝えします。
結論|冬の一番の敵は、寒さそのものより「急な寒暖差」
先に結論です。冬にメダカを失う原因で一番多いのは、低水温そのものではなく、気温が急に上がったり下がったりする「寒暖差」です。
当店は横浜で、加温せずに屋外で越冬させていますが、それでも8〜9割の子は春を迎えます。寒さで全滅するようなことは、よほどのことがないかぎり起こりません。
氷が張っても、メダカは死にません
屋外の容器に氷が張ると慌ててしまう方が多いのですが、水面が凍っても、その下の水は凍っていません。
水は4℃のときが一番重いので、冬の容器は水面ほど冷たく、底ほど温かくなっています。メダカはその底のほうでじっとして冬を越します。
当店でも毎年、氷が張る環境で越冬させていますが、それが理由で失うことはほとんどありません。
ただし、容器の水が底まで完全に凍ってしまうと、さすがにメダカも凍って死んでしまいます。氷が分厚くなりすぎないように、深さのある容器にしておくことが大切です。
薄い氷が張った日は、無理に割らずに自然に溶けるのを待ってください。割る衝撃のほうがメダカの負担になります。
危ないのは「日中20℃・朝晩は冷える」という日
本当に気をつけたいのは、冬から春にかけて出てくる、日中だけ急に暖かくなる日です。
日中は20℃近くまで上がり、朝晩は冷え込む。この寒暖差が続くと水温が上下し、メダカの免疫が落ちて水カビ病が出やすくなります。
寒い日が続いているときのほうが水温は安定していて、実はメダカにとっては楽な状態です。「暖かい日ほど気をつける」と覚えておいてください。
屋外・加温なしでも、8〜9割は春を迎えます
深さのある容器に余裕をもって入れて、毎日様子を見る。当店がやっているのは、ほぼこれだけです。それでも屋外・加温なしで8〜9割は春を迎えます。
逆に言えば、半分以上を失っているなら、寒さ以外に原因があります。次の章から、その原因を1つずつ見ていきます。
原因①|秋のうちに体力をつけられていない
冬に死ぬ原因の多くは、実は冬が来る前に決まっています。
痩せた状態で冬に入ると、春まで体力がもたない
冬の間、メダカはほとんど餌を食べません。水槽の中にわずかに発生する微生物を少しずつ食べながら、秋までに蓄えた体力で数か月を過ごします。
つまり、秋の時点で痩せている子は、そのぶん冬を越しにくくなります。
とくに秋に生まれた稚魚は要注意です。体が小さいほど蓄えが少ないからです。
目安として、2cmくらいあれば越冬できる確率は高くなります。11月までに2cmに届いていない子は、室内に取り込んで冬を越し、暖かくなってからまた外に出すほうが安全です。針子サイズの子は屋外での冬越しはかなり厳しいので、室内で育ててあげてください。
秋の餌やりを早く切りすぎない
「冬は餌を切る」と覚えている方が多いのですが、切るタイミングが早すぎると、体力をつけないまま冬に入ってしまいます。
餌を切る目安は2つです。
①水温が10℃を下回っている
②メダカが水底でじっとしている
この2つがそろうまでは、少量ずつ食べさせて体力をつけていきます。当店(横浜)では、例年クリスマス前後にこの状態になります。
水温が10℃を下回るまでは、底に沈んでいる子でもまだ食べることがあります。ごく少量を撒いてみて、上がってきて食べるようならしばらく続けてください。食べ残しは回収します。
暖かい日はメダカが動いていて体力を使うので、水面に上がってくるようなら少しだけあげてもいいです。「切る・切らない」の二択ではなく、水温とメダカがどこを泳いでいるかで決めるのが正解です。
秋の餅やりの詳しいやり方は寒い秋のメダカの餅やりはどうするべきか?餅切りのタイミングは?で解説しています。
越冬前の丸洗いで、ヤゴやアオミドロを出しておく
越冬モードに入る前に、容器をリセット(丸洗い)しておきましょう。アオミドロや落ち葉、汚泥がたまったままだと、越冬中のメダカの害になることがあります。ごくまれに、アオミドロにメダカがひっかかることもあります。
屋外では、砂利の中にヤゴが潜んでいることがあります。ヤゴは屋外で越冬できるので、残したままにすると冬の間にメダカが襲われます。
丸洗いのときは、今までの水を1割ほど残して新しい水に混ぜてください。完全に新しい水には微生物がほとんどおらず、冬の間にメダカが食べるものがなくなってしまいます。
原因②|容器が浅い・過密になっている
冬の容器選びは、夏とは考え方が変わります。
浅い容器は水全体が冷えて、底まで凍りやすい
冬の水は、水面に近いほど冷たく、底ほど温かくなります。深さがあれば底に温かい層ができ、メダカはそこでじっとして冬を越せます。
浅い容器だと、この逃げ場ができません。同じ水量でも、浅い容器は全体が一気に冷え、底まで凍るリスクも出てきます。
メダカ飼育でよく使われるNVボックスのような箱型の容器は、夏は使いやすいのですが、水深が浅いので越冬にはあまり向きません。冬の間だけでも、バケツやタライのような深さのある容器に移すと、越冬の成功率が上がります。タライにこだわる必要はなく、お手持ちの深めの容器で大丈夫です。
冬は1匹に2〜3リットルが目安
夏場は1匹あたり1.5〜2リットルを目安にしていますが、冬は少し余裕を持たせて、1匹あたり2〜3リットルにしておきます。
冬は餌をあげないので、メダカは水の中の微生物を食べています。過密だとその分け前が減り、少しずつ痩せてしまいます。実際、過密の容器のメダカは冬の間に痩せやすく、余裕のある容器のメダカはぷっくりしたまま春を迎えることが多いです。
数が多い容器は、秋のうちに分けておいてください。冬に入ってから移すのは、それ自体がメダカの負担になります。
容器の選び方はメダカの越冬グッズおすすめ|屋外で冬を越すための道具を専門店が解説でも解説しています。
原因③|冬に水をいじりすぎている
良かれと思ってやったことが、逆効果になるケースです。
冬の全換水は大きな負担になる
冬の間、メダカは餌をほとんど食べず、フンもほとんど出しません。水温が低いので水の傷みもゆっくりで、冬は水換えをほとんどしなくても乗り切れます。
そこへ全部の水を入れ替えると、水温も水質も一気に変わって大きな負担になります。冬はバクテリアの活性も下がっていて、一度減ると簡単には増えません。微生物もいなくなるので、メダカが痩せる原因にもなります。
冬に水換えをするとしても、暖かい日の昼間に、1/4〜多くても1/3までにとどめてください。冬でも少量の餌をあげている場合や暖かい日が続く場合は、2〜3週間に1度くらいを目安に少しずつ換えます。
水換えのときにメダカを追い回さない
冬のメダカは底に集まってじっとしています。水換えのときに網で追い回したり、ポンプで底の水を吸ったりすると、メダカがびっくりして逃げ回り、どこかに体をぶつけて病気につながることがあります。
換えるのは、メダカのいない水面近くの水で十分です。底の掃除はしてもかまいませんが、メダカを吸い込まないように気をつけてください。
冬の水は多少汚れていても問題ありません。綺麗すぎる水より、少し汚れたくらいの水の方がいいです。綺麗すぎると、微生物が少なくて痩せることがあるからです。冬はなるべくそっとしておくことが一番のケアです。
冬はカルキが抜けにくい。汲み置きの水で大量死させた失敗
冬の水換えや足し水で、もう一つ気をつけたいのがカルキです。
夏なら天気の良い日は半日でカルキが抜けますが、冬は1日置いても抜けないことがあり、くもりの日は2〜3日たっても抜けきらないことがあります。
当店でも昔、2日半ほど外に汲み置きした水を使って、多くのメダカを死なせてしまったことがあります。夏の感覚で「これだけ置けば大丈夫」と油断していました。
冬に汲み置きの水を使うなら、しっかり日の当たる場所に置いてください。心配であれば、カルキ抜き剤を使うのが確実です。冬の水換えのやり方は冬の屋外飼育のメダカ水槽で水換えをした方が良い時もあるにまとめています。
冬はエアレーションを止める
冬はエアレーションも止めておきましょう。
冬のメダカは活性が低く、使う酸素の量も少ないうえ、水温が低いほど酸素は水に溶けやすくなるので、酸欠になることはほぼありません。
むしろエアレーションで水が混ざると、底にできた温かい層がなくなってしまいます。水が動き続けるとメダカは泳がなくてはならず、体力を温存しようとしているところに負担がかかります。
原因④|品種や体型によって、冬に弱い子がいる
すべてのメダカが同じように越冬できるわけではありません。当店の経験で、冬にとくに気をつけたいのはヒレ長とダルマの2つです。
水カビ病はどの品種にも出る。ヒレ長はヒレの先から出やすい
冬にかかりやすい病気に水カビ病があります。体の表面に白い綿のようなものが付く病気で、初期は白いモヤのように見えることもあります。
水温が下がると免疫が落ちるため、寒暖差の大きい時期にはどの品種にも出ます。その中でも、ヒレ長の子はヒレの先から出やすいので、より注意して見てあげてください。
冬は水換えを控えるので、いったん出ると広がりやすいのが難しいところです。
観察するときは、ヒレの先・体表・口先を見ます。群れから離れて泳ぐ子や、1匹だけ水面にいる子がいたら、体をよく見てください。冬は世話をすることが減るぶん、気づくのが遅れがちです。毎日少しでも見る習慣が、早期発見につながります。
治し方はメダカの水カビ病(綿かぶり病)とは?症状・原因・治し方と予防を解説で解説しています。
ダルマは低水温でうまく沈めなくなる
ダルマメダカは、水温が下がるとうまく沈めなくなったり、ひっくり返ったり(転覆)することがあります。理由ははっきり分かっていませんが、水温を上げると戻ります。
当店ではダルマも屋外で越冬させています。屋外に置いたままでいいかは、転覆していないかで決めます。ひっくり返る子がいたら、その子だけ室内に移してください。安全をみるなら、はじめから室内に入れてかまいません。
ダルマの飼い方はダルマメダカの飼い方と注意点|冬の低水温・繁殖のコツを専門店が解説にまとめています。
原因⑤|冬明けの再開が遅れ、そこへ急な暖かさが来る
実は、冬そのものより冬明けのほうが危険です。冬明けの相談で一番多いのも「水換えと餌やりをいつから再開するか」です。
水換えと餌の再開が遅れたところに、急に暖かい日が来ると危ない
冬の間は低水温で水が安定しています。そこへ1月や2月でも20℃近くまで気温が上がる日が来ると、水温も一気に上がり、冬の間ほとんど水換えをしていなかった水が一気に傷みます。餌もあげていない、水換えもしていない状態が重なると、メダカがばたばたと死んでしまうことがあります。
だから、冬でも週間天気予報は見ておいてください。水温が上がりそうな日の前に1/4程度の水換えをしておくと、水質が崩れにくくなります。
水換え・餌やりの再開は、温度計ではなくメダカの様子で決める
再開の目安は、水温10℃を超えて、メダカが水面付近に上がってくるようになってからです。10℃を超えても水面に来ない群れもいるので、温度計だけで決めずに、数日続けてメダカの様子を見てください。
水換えも餅も、最初は少しずつからです。餅は確実に食べきれるごく少量を、1日1回、なるべく昼間の暖かい時間帯にあげます。再開の細かい手順(水換えの量・全換水の時期・餅の戻し方)は、越冬本の第9章にまとめています。
冬の餅やりの判断は冬の屋外飼育のメダカに餅はあげてもいいの?、冬の水換えは冬の屋外飼育のメダカ水槽で水換えをした方が良い時もあるでも解説しています。
やらなくていいこと|落ち葉・柿の葉は必ず必要なものではない
越冬の情報を調べると「柿の葉を入れる」「落ち葉を入れる」とよく出てきますが、当店では入れていません。
入れる方の狙いと、当店が入れない理由
入れる方の狙いは主に3つです。
①柿の葉から出るタンニンに抗菌作用があるとされること
②メダカの隠れ家になること
③葉の周りに微生物がわいて冬の餌になること
当店では入れていません。一番の理由は、葉の下にメダカが隠れて観察しにくくなり、病気を見逃しやすくなるからです。抗菌作用は効果を感じたことがありません。急に暖かくなった日に葉が傷んで水が悪くなるほうが怖く、拾ってきた葉には農薬が付いている可能性もあります。微生物を餌にしたいなら、最初からオオミジンコを入れておけば足ります。
当店のメダカは、落ち葉も水草も入れないベアタンク(水とメダカだけの状態)で越冬していて、それでも毎年8〜9割は春を迎えます。
入れて飼育がうまくいくと感じる方は、入れていただいて構いません。ただ、必ず必要なものではないということは知っておいてください。水草も同じで、冬越しのために特別に入れる必要はありません。もともと入っているぶんは、そのままで大丈夫です。
越冬全体のやり方は屋外飼育のメダカの失敗しない越冬方法!餌や水換えはどうする?柿の葉はいる?にまとめています。
まとめ|冬に死なせないための早見表
・9〜10月:秋のうちに体力をつける。餌を早く切りすぎない。越冬前に丸洗いしてヤゴ・アオミドロを出す
・10〜11月:深めの容器へ。1匹2〜3Lに分ける。2cmに届かない子・転覆するダルマは室内へ
・12〜2月:触らない。水換えは暖かい日の昼間に1/4〜1/3まで。汲み置きよりカルキ抜き剤。エアレーションは止める。氷が張っても慌てない
・2〜3月:一番危険な時期。暖かい日の前に少し水換え。ヒレの先・体表・口先を見る(ヒレ長はとくに)
・3〜4月:水温10℃を超えてメダカが水面に上がってきたら、水換えも餅も少しずつ再開
冬にメダカを失う原因は、寒さそのものではありません。秋の準備不足、浅い容器や過密、冬の触りすぎ(全換水・カルキ・エアレーション)、冬に弱い品種や体型(ヒレ長・ダルマ)、そして冬明けの寒暖差です。どれも、知っていれば防げるものばかりです。
氷が張っても慌てず、暖かい日ほど気をつける。この感覚を持っておけば、越冬はぐっと安定します。焦らず、メダカの様子を見ながら春を迎えましょう。
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